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読んだらただちに廃棄せよ。現代の本はなぜかみなこれを要求する。だが実際に棄ててみると、奇妙な鳴き声をあげてどこまでも追ってくる。他人が本を棄てるのを見た。放られた本は地面につく前に煙になった。どうしたら本を「読める」のか。鳴く本たちで部屋…

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その夜、人はちょっとおかしくなる。だからみな一心不乱に食べ物を丸める。おかしくなるのを防ぐためか、おかしくなった結果なのか、それは誰にもわからない。どの夜よりも明るい夜に、人はただ食べ物を玉にする。ギラギラと雲を照らすあれが球体だと、なぜ…

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(炬燵みかんまつりに参加) 布団をめくると足には毛が生えていて、これが炬燵ではなく、大型の四角い猫なのだとわかった。緑がかった黄色の皮をむくと中身には毛が生えていて、これが蜜柑でないことはわかったものの、なんの動物かまではわからない。ニャー…

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(twnovelキャンドルナイト企画に参加) 火のともった百本の蝋燭をのせ、木の舟が川をくだる。女たちは洗濯の手をとめ、無言でそれを眺める。舟が通り過ぎると、橋はみな焼け落ちた。永く孤立する集落の中央から、やがて巨木とも塔ともつかぬものが天に届く…

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生きるヒントは、この廃坑に50年間眠っていたのだ。発見されたとき、私の両目は完全に退化していた。暗闇のなかで生きるヒントを吸い続けてきたためだ。両掌と膝を移動の手段として、私はまっすぐ崖へ向かった。たどり着くまでに羽が生えてくるという確信は…

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twnovel 「趣味はにんべん観察です」 「私もです!」 「わたしもなんです!」 セミナー会場に切羽詰まった叫びが次々と響き、「あっ! 窓に! 窓の外に!!」 振り向いた一同の目に映ったのは空中に浮かぶ巨大な「イ」の字、「イが! イの字が!」 嫌悪のあ…

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twnovel参加:機械と肉 「ねえ機械」 「なんだい肉」 「さっきからどんどんネジが取れて落っこちてるけど」 「ああ、冬ネジの抜けかわる時期だから…」「真夏に?」 「機械に季節とか関係ないんだよ!」 「暑いからイライラしてんの?」 「もっとネジのことを…

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twnovel参加:幻獣租界 【幻獣租界】 屋台の軒先にずらりと吊るされ売られている、半身に切られた半実体のなにかの中に、誰もがかならず知り合いに似た顔を見つけられるという。食べ方を聞き出せた者はまだいない。 【幻獣租界】 冷房に惹かれて通勤列車に迷…