北国のスナック
「雪まみれ」には
今日も
雪にまみれた男たちが
いっときの暖を求めて
生命停止寸前のチルド状態で
かつぎ込まれてきます。


「雪まみれ」の所在地は
残念ながらお教えすることが
できませんが、
標高でいうとちょうど
木が生えなくなるラインを
越えたあたり、
緯度でいうと青森と
同じくらい、といえば
だいたい見当をつけて
いただけるでしょう。


かつぎ込まれた男たちは
パートのおばちゃんたちの
手際よい流れ作業に委ねられ、
凍死を防ぐために服をハサミで
じょきじょき切りとられて
犬風呂に放り込まれます。


ここの犬風呂は
特に犬種を大型犬に
限定した高級感あふれる
もので、

それはそうと、この「犬風呂」と
単なる「犬」の区別について
よく聞かれるんですが、
一平方メートルあたりの頭数が
ひと桁だと「犬」です。
これが二桁になると「犬風呂」と
呼ばれるようになります。
いずれにしても主成分は犬で
あることがおわかりいただけると
思います。
 
「こちらが犬風呂になります」
 
「犬風呂で
 よろしかったでしょうか?」

 
ヨダレっぽい大型犬に
わっほわっほと揉み囲まれて
 
「あったか臭っ!」


そんな風なので
犬風呂はおすすめできません。


世間ではよく
「仔犬風呂」と
混同されていますが
この二つは別のものなので
注意が必要です。

仔犬風呂のほうは
言うまでもなく
「世界三大動物風呂」の
一つにも数えられる
至福のアニマル体験であり、
厳選された生後三週間までの
仔犬をふんだんに
使用した仔犬風呂の
入り心地といったらもう
 
きゅんきゅんきゅーん
きゅんきゅんきゅーん
きゅんきゅんきゅーん



リフレッ シュ ッ

(昇天)


「世界三大動物風呂」の
のこり二つは
仔猫風呂とヒヨコ風呂ですが
あっ、それはご存知でしたか



(第二話)
横浜にあるバー
「たそがれ土人館」には
(つづく)



春は
まだですかいのう

2005年は
まだですかいのう