本当にひどいときの眠気というのは、
単に意識の混濁を生じるというよりも
覚醒状態を保とうと必死にあがく精神の
器そのものが破壊されてゆくような
非常に暴力的なものです。
 
睡眠時間を極限まで削減しつくした
この一週間の仕上げとして
徹夜明けの出社だった昨日は
睡魔のぶっとい二本の指で
脳みそをちょっとずつ
引きちぎられているかのような
思考の損壊を体験しましたが、
それから4時間眠った本日は
豆の煮え具合を確かめるがごとく
脳みそを指で押しつぶしてマッシュ状に
されているような意識の流動化が生じ、
自分がなにをしようとしていたかを
10分おきに忘却する
ホームメイド・コルサコフ状態が
半日持続しました。
 
5階分の階段を一気に駆け降り駆け上って
眠気を追い払うといういつもの手法に
活路を求めましたが、
階段を登り切るまでに
つまづいて無様に転ぶこと3回、
向こう脛にあざができました。

 
「これはもうダメだ」と
誰もが思ったそのとき、
 
まあ
ダメでした。

 
(メモ帳から見つかった2006年秋ごろの手記)