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- 「下町のシャンポリオン? ああ、それならあの男だよ」 行ってみると畳文字を一心不乱に解読中で顔も上げない、風呂にも入ってない、財布には5円しか入ってない、
- 「下町のドンペリニョン? ああ、それならあの男だよ」 語尾がかならず「○○だニョン」になる中年男は想像をはるかに越えてYou blow my mind
- 「下町のナポレオンズ? ああ、それならあの男だよ」 なぜ複数形? と思っていたらシャム双生児だったので2割ほど納得して帰る
- 「下町のジャン・バルジャン? ああ、それならあの男だよ」 ランランランと歌いながらバンバン撃たれてて、いや、それは別のキャラクターなのではないかと、硝煙がもうもう
- 「下町のレオン? ああ、それならあの男だよ」 予想どおりただのロリコンおじさんだったので配当金と幻滅を手に入れた 晩秋
- 「下町のカメレオン? ああ、それならあの男だよ」 そのあたりをいくら探しても姿が見つからなかったことに満足して帰った(日記)
- 地ベジ(地上波ベジタブル放送)への本格移行は2026年にまでずれ込んだ。屋上の全農地化が遅れたためだ。緑黄色野菜に執拗にガンマ線を浴びせ続けると、γカロチンと呼ばれる未知の物質が生成されるが、それはまた別の話題である。野菜嫌いに根本的な解決法はない。
- 地ベジ(地上波ベジタブル放送)への移行直後、全国の売り場から野菜が消え失せた。その夜、全国民の夢に野菜たちが登場し、何かを力説したが、言葉が不明瞭なため内容を理解できた者はいなかった。翌日、ふたたび野菜は店先に戻っていた。野菜嫌いは新たなステージへ移行した。
- 地ベジ(地上波ベジタブル放送)のためのインフラ整備には莫大な予算が投じられており、撤回は不可能だった。野菜嫌いを克服できても、その反動で人嫌いを悪化させてしまう。帝都に暗雲がたちこめていた。恵みの雨が屋上の野菜をすくすくと育て、建物は重みにぎしぎしと軋んだ。
- 地ベジ(地上波ベジタブル放送)の開始直後から、某国はひそかに放送を傍受し、内容を分類していた。野菜の数はじつに数千種にのぼった。野菜嫌いの諜報員はその数を聞いただけで卒倒し、やがてオフィスは閑散とした。γカロテン(呼称を改正)の精製にようやく目途がたった。
- 地ベジ(地上波ベジタブル放送)の開始から1年。テレビに映る新首相の顔はつねに野菜の寄せ集めで表現されていた。いったい野菜のどこが嫌なのか。味か。直径10メートルのカボチャから2グラムのγカロテンが精製できる。某国の諜報員は本土上陸を試みるが、蔓がそれを阻む。
- 地ベジ(地上波ベジタブル放送)の可視聴範囲は他国にまで及び始めた。新東京タワーにたわわに実るミニトマト。動物性蛋白だけをつかってあらゆる野菜を表現する、カウンター精進料理は言うまでもなく不評だった。完成度が高すぎて野菜の味しかしないのだ。スイカも野菜である。
- 地ベジ(地上波ベジタブル放送)の出力は冬になると急激に低下した。ふたたび夢に野菜が出現し、なにかを説明しかけたが、夢をみる人々の方が一人残らず意味不明なことを大声で叫んでしまい、コンタクトは失敗に終わった。列島を厳しい寒波が襲い、茶色の蔓がカラカラと鳴った。
- 地ベジ(地上波ベジタブル放送)の意義とはいったい何だったのか。首相の顔を構成する野菜が次第にしなび、思考が形を失いはじめた。これじゃない。これは私が描いた未来じゃない。研究所の地下で、博士は燐光を放つγカロテンの巨大な結晶に語りかけた。おおきくなったね。